「ミア!!」
聞こえるはずもない声に驚いた。
閉じた目を開いた先にアサヒがいた。
「アサヒ!?なんで戻ってきたの」
逃げたアサヒが戻ってきた事に動揺を隠せなかった。
振りかざした剣を止め振り向くギールに、落ちている剣を取り、一心不乱に向かっていくアサヒ。
「ミアから離れろ!!」
勢いよく突っ込み剣を振りかざすも微笑みながら簡単に避けられる。
「よく戻ってきたな少年」
かわされるもすぐに向い合いあう。
「ここから出ていけ!」
再び切りかかるもやはり簡単に避けられる。
「安心しろお前らを殺したらいなくなってやるよ」
避け際でアサヒを蹴り飛ばすギール。
「アサヒ!!」
蹴り飛ばされるアサヒを見ていることしかできない。もうアサヒを助ける力は残っていない。
「お前はそこで仲間が殺されるところを見ていな」
蹴り飛ばしたアサヒに言い放ちながら一歩ずつミアに近づくギール。
近づいていくるギールに立てないながらも最後の力を振り絞り攻撃する。
その魔法にはもう力がなく、避けることなく向かってくる。
一歩ずつ近づくその足は目の前まで辿り着いた。
剣を振りかざすその光景は数分前と同じだ。
「まずはお前からだ」
蹴り飛ばされ立てないまま絶望的な状況を見ることしかできなかった。
「ミア…」
自分を見るアサヒを見つめながら謝ることしかできなかった。
「ごめんねアサヒ」
「じゃーな」
振り下ろされる剣とともに終わりを告げる。
今度こそ死ぬんだそう思い目を閉じたミアの瞳からは涙が流れていた。
振り下ろされる剣とミアを見ることしかできない。
「くそ…」
目を瞑ったアサヒの目の前にはあの夢が広がる。
「アサヒ、守りたい気持ちが人を強くするんだよ。」
ミアを守りたい。強くなりたい。
「本当に守りたいと思えた時にこれがアサヒの力になるよ。」
本当にミアを守りたいんだ。
渡されたアクセサリーを強く握りしめていた。
「ミアー!」
手の中でアクセサリが光を放った。
強烈な光にギールの目がくらみ振り下ろしていた剣が止まる。
「クッ」
光がおさまりそれは姿を見せた。
アサヒの手には剣のようなものが握られていた。
「剣!?」
光とともに現れた剣はアサヒ自身を驚かせた。
今度こそ死を覚悟したミアが開いた目の先には見たことのない剣を持ったアサヒが立っていた。
「アサヒあなたは…」
驚いているのはギールも同じだった。
ミアとは違いそれが何かを知っているかのようだった。
「お前どこからそれを…」
この場にいたもの全てがアサヒの持つ剣に驚いた。
状況は理解できないが、何とかなる気がしてきた。
「この剣…なんかすげー力が湧いてくる」
守りたい。強くなりたい。ミアを助けたい。今ならそれができる。
アサヒはミアを真っ直ぐ見つめた。
「ミア!俺がお前を助ける!」
アサヒの言葉がミアの心に勇気を与えた。死を覚悟した涙はいつの間にか希望の涙に変わっていた。
「アサヒ…ありがとう…」
その手に希望を握り力強く剣を構えギールを睨みつけた。
「俺がお前を倒す!」